大人の読書感想文。

30代独身女の読書感想文と頭の中。恋愛も仕事も中途半端な私が本を読みながら生き辛さと向き合います。

5冊目 星の王子さま

こんにちは、白です。

今日は大好きな本の感想文です。

今回は感想文というよりも紹介に近い内容になってしまいました。

 

[星の王子さま]サンテグジュペリ

 

この有名な物語、実はちゃんと読んだことがないという人が多いのではないでしょうか。私も、初めて読んだのは20歳を超えてからでした。薄い絵本のものから、しっかりとしたハードカバーのもの、漫画になっているものと、様々な形で出版されていますが、私が一番大切に読んでいるのはこの形です。

 

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写真が暗くてすみません。

 

作者のサンテグジュペリはフランスの作家。作家であり、パイロットでありました。この作品は1943年にアメリカで出版されました。児童文学というイメージが強いであろうこの本ですが、かつて子どもだった大人達へ、という大人へのメッセージが多く含まれたものとなっています。

なので、子どもに読ませたい一冊でありながらも、大人になってからも読み続けたい物語です。

 

1935年、作者が35歳の頃に彼はリビア砂漠にて飛行機の墜落事故を体験しており、それがこの物語の元になっています。物語は『ぼく』の飛行機の墜落事故から始まるのです。

そこで出会った不思議な男の子が、星の王子さまです。

 

砂漠に墜落、水も数日分しかない、修理も自分でしなくてはいけない。『ぼく』はそんな極限状態でありながら、王子さまはそんなこと気にもせず、自分の話したい話を続けます。その会話は全く噛み合っていない、それでもどこか聞いたことのあるような、こどもと大人の会話でした。

 

『ぼく』が大人として、王子さまの話を聞き流すようなことをしてしまったら、この物語は何も生まれなかった。でもそんな風景が、きっと世の中には沢山あるように思います。耳を傾けて、王子さまの話を聞いていくうちに、『ぼく』は王子さまを愛おしく感じ、王子さまの物語を知ることになるのです。

 

王子さまの星には一輪のバラがいました。

彼女の世話を甲斐甲斐しくする王子さまですが、彼女はとてもワガママで見栄っ張りです。そしてとても美しかった。王子さまを困らせるバラに対して、苛立つようになる王子さま。そして王子さまは、バラをおいて星を出ていきます。

 

別れになればお互いが少し素直になる。

悲しむ2人はそれでも別れを選びます。

 

そこから王子さまは旅をします。

ゆく星々で様々な人に出会います。

 

威厳のある王様。

うぬぼれ男。

酒飲み。

ビジネスマン。

点灯夫。

地理学者。

 

それぞれのキャラクターは大人の特徴を凝縮して誇張した、憎めない愛すべき大人たちです。

私は王様と酒飲みが好きです。多分、私と一番近いものを感じたからだと思います。(お酒は飲まないけれど。)自分はどの大人かな、あの人は?なんて思いながら読むも楽しいです。

 

そして最後にたどり着いたのが、上記の大人たちが何人も集まっている地球でした。

 

王子さまは旅の途中、薔薇園にたどり着きます。そこで自分のバラが、唯一の特別なものなんかではなく、その他にもこんなにたくさんいる、ただのバラだったことを知り、悲しい気持ちになります。

 

そしてその後にキツネと出会い、友達になり(物語の中でキツネは"飼い慣らす"という言葉を使います)絆を作る事で、たくさん同じものがいたとしても、特別な存在になっていくということを学びます。

王子さまは改めて薔薇園に向かい、薔薇を見て思います。王子さまの星のバラは、薔薇園のバラとは全く違うものだと気付くのです。

 

肝心なことは目に見えない。

バラのために費やした時間の分だけ、大事になる。

飼い慣らしたものには責任がある。

 

それをキツネは王子さまに教えてくれました。

 

 

ラストは是非読んでみて欲しいのです。

『ぼく』は王子さまと別れ、無事帰還します。

そして王子さまの星のことを思います。

決して大人には話さない物語として。

王子さまとバラは再会出来たのでしょうか。

 

 

この物語は何度読んでも胸がきゅっとなります。

子どもの真っ直ぐな思いを、かつて子どもだったことのあるはずだった私達は、もう思い出せないのかもしれません。

 

バラのワガママな素振りは、作者の奥さんがモデルだったと言われていますが、そう考えるとなんて深い愛なんだと羨ましくも思います。

 

上手くいかない恋愛を続けている私ですが、彼に費やした時間は無駄だったのか、とかそんな気持ちも少しだけ薄れます。

…いや、濃くなる気もします。

 

それは私が大人になってしまった証拠なのかな。

 

肝心なものは目に見えない。

それを忘れてしまった大人たちに向けたこの物語を、私はまだ子どもなあの子達にも読んで欲しいと思います。そしてどう感じたのかを、こどもの言葉で聞きたいです。

 

決して邪魔はしないから、ゆっくり話して欲しい。

 

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