大人の読書感想文。

30代独身女の読書感想文と頭の中。恋愛も仕事も中途半端な私が本を読みながら生き辛さと向き合います。

7冊目 出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと

こんにちは、白です。

7冊目のタイトルはとっても長い。

 

[出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと]

花田菜々子

 

今年の1月に本屋さんで見つけたこの本。タイトルに惹かれて即購入しました。全く本を読まなくなってしまっていた私が、改めて本を読もうとなったきっかけをくれた一冊でした。

内容はタイトルの通り。筆者である花田さんが出会い系サイトで実際に会った人達に本を勧めまくった一年間の話です。

 

 

花田さんが夫に別れを告げて、家出をするところから話は始まります。ヴィレッジヴァンガードの書店員として働いていましたが、仕事にも行き詰まり夫婦仲も上手くいかない、かといって他に何か充実したプライベートがあるわけでもない。そんな毎日を過ごしていた彼女。

そこで何か新しい世界に触れたいと始めたのが『出会い系X』

30分だけ会うという出会い系で、彼女は出会った人達に本を勧めまくります。様々な目的の人達との出会いを通して、彼女が自分と向き合う姿が描かれています。現実にあった話なので、素晴らしい人達に出会って何かを与えられて成長していく、なんてストーリーではないところがとても面白く読めます。

成長ではなく、自分との対話。自分の願望を見つけ、道を選んで人生を充実させる。それが結果成長に繋がってゆく。この話はとても勇気をもらえます。そして前向きになれる。

 

 

この本を読んだ時の私は6年間付き合っていた彼と別れを選んだばかりでした。一緒に暮らし同じ会社で働き、血の繋がった家族よりもよっぽど近くに居た人を失った。仕事に心底打ち込んでいた訳でもない。そして趣味も無ければ友達も少ない。

自分の人生は本当にくだらない。

そんな思いでいっぱいの時だったので、運命の出会いだったと思っています。

 

まずこの本を読んでから『出会い系X』を探しました。そして自分もそこで出会った人達の写真を撮ってみよう!と思いました。思っただけで、私はそれをしませんでした。だって怖いし面倒くさい。

彼女は自分の行動を、『荒っぽい手段でなければ、私の“傷"は癒えないという直感があったのです』と語っています。30年以上自分という人間を生きてきて、それを変えたいと思ったら、確かに普通にしていたら無理。

怖いし面倒くさい。そう言いながらも『変わりたい』と願っていた私は、誰かが私の生活を劇的に変えてくれるようなそんなことを願っていたのでしょう。だから私はいまだにここにいる。

 

読み終えてから数ヶ月。

私は何も変わりませんでした。

 

一人暮らしを始めました。

恋愛する相手が変わりました。

恋愛の内容も変わりました。

近くにいる人も変わりました。

よく出掛けるようになりました。

疎遠になっていた人達に会いました。

家族と過ごす時間が増えました。

 

それでも私自身は何も変わっていませんでした。

いや、もしかしたら少しは変わったのかもしれません。でも、私の望む変化ではありませんでした。本を読んですぐは、モチベーションが上がって何かを変えられる気になれたりします。でもそれは刹那的なもので、それを継続させることが難しいのです。そして継続させることが出来ない私は、何冊も何冊も本が増えていくのです。

 

やっぱり今のままは嫌だ。

 

突然襲いかかってくるネガティブな思考に押し潰されそうになりながら、私は改めてこの本を読みました。そして花田さんのインタビュー記事などを読み漁りました。

 

"憧れの対象は一つじゃなくていい

それこそ女性らしい。"

 

その言葉に、はっとしました。

 

私は自身で自分の理想を決めつけて、首を絞めていたのかもしれません。何がしたいのかは、まだ分かりません。でも、どうありたいか。それが少し見えた気がするんです。そのために出来ることはある。

 

"自分探し"

"私らしく"

 

そんな言葉が嫌いでした。

でも、今の私は自分を知りたいし、無理なく自分らしく生きたいと願っています。

 

花田さんのような行動は出来ていないけれど、この本を読んでやっと重い腰を上げたのです。

 

 

好きだけど、自分らしくいられなくなる。無理ばかりしてしまう。そんな恋愛から離れなくては。正直しんどい。会いたいし、別れる必要はなかったんじゃないかな、と思うこともあります。だけど自分らしくいるために、彼といることは今の私にはマイナスでしかない。元々は楽で楽しくて、一番自分らしく一緒に居られる人だったのに。そんな思いが頭をめぐる。思い出が邪魔をする。

だけど、ここで離れることが、きっと私のはじめの一歩なのだと思って断ち切ろうと決めました。随分と長いこと執着した関係でした。こんな気持ちは初めてでした。

 

 

生活のためにも仕事を続けるべき、絶対に辞めちゃいけない。今の仕事を家族も喜んでくれている。まだ三年。もっと今の場所でも出来ることがあるはずでは。周りのせいにしているだけでは…?今の私にとって最適な場所はここ以外ないはず。私はここにいるのが最適な人間。ここで出来ることをまだ全力でやりきってなんていないはず。

 

…でも辞めたい。ここにいたくない。

もっと違う世界にいきたい。

 

辞めたい、という気持ちは悪いものだと思ってなんとか押し殺していた自分。どうせ出来ない、と決めつけていた自分。何かを始めることに、壮大な理由がないといけない思っていた自分。それを理由に何も行動していなかったと気付かされました。

 

もう2019年が終わってしまう。

終わってしまう前に、またこの本を読み直して、せめてこれだけは!という行動が起こせたことはよかったと思いました。

私にとっても少々荒っぽい手段。

花田さんのように一人で動けるような力はなくて、結局人に頼ってしまいました。

でも、助けて欲しい協力してほしいと声をかけた時に、白ちゃんが頑張りたいなら手伝うよって言ってくれた人がいたってことは、今までの人生だって捨てたもんじゃないし、昔の自分だって頑張って生きてたじゃないか。そんな風にも思えました。

お陰で年末はちょっと忙しいけれど、頑張ってみたいと思いました。

 

クリスマスはインコと二人。

年越しはインコと二人。

お正月は一人旅。

 

こんな年末年始も素敵な気がするんです。