大人の読書感想文。

30代独身女の読書感想文と頭の中。恋愛も仕事も中途半端な私が本を読みながら生き辛さと向き合います。

4冊目 ぼくが見た太平洋戦争

こんにちは、白です。

 

今日は読書感想文!

ちょっと重い。

 

宗田理[ぼくが見た太平洋戦争]です。

古本屋さんをフラフラしていたら久しぶりに宗田理先生の名前を見かけてつい買ってしまったこの本。宗田理先生といえば[ぼくらの七日間戦争]。小学校時代に夢中になって読んでいたぼくらのシリーズ。この頃が一番本を読んでいた気がします。でも当時読んだ本の内容をほとんど覚えていないのです。面白かった!夢中になってた!という記憶しかない…。

 

そして今回読んだ[ぼくが見た太平洋戦争]は、小説ではなく体験談。中学生向けの本なので小一時間あれば読めてしまうものでしたが、その小一時間が濃い。すごく濃い。2、3日いやそれ以上かな、少し重たいものが心に纏わり付きます。でも、読んで良かったと思います。

 

教科書には乗っていない本当の体験談。恋愛小説を読んで、男女が恋に落ちるという世界を嘘のように感じる学生。当時の学生が感じていたこと。公にならなかった大震災の話。2つの原爆の影に消えた、豊川の大空襲。防空壕に入れなかった人々の逃げ惑う姿。

 

不思議と涙は出ませんでした。

ただただ、呆然とするような、戦争の体験談。

 

なぜ戦争が始まったのか、どんな被害があったのか、どうやって戦争が終わって、その後の日本がどうなってゆくのか。それは学校で習うことだったかもしれませんが、こんな生々しい体験談は聞いたことがなかった、もしくは耳を塞いでいたのか。

 

戦争なんてまっぴらだ!と、大きく書かれた表紙に激しく賛同する以外ありませんでした。

 

戦争になれば学校に行かなくていいのに、なんて一瞬でも思っていた学生時代を恥ずかしく思いましたし、それを言葉に発した時の祖父母の怒りは最もだとしか言いようがありませんでした。

 

私の祖父母は太平洋戦争の経験者。小さい頃から2人はよく戦争の話を私にしていたけれど、私は聞きたくない、と突っぱねていました。学校で習ったことだけでいい。それくらい戦争は遠い話だったのです。

 

祖父母はとても厳しい人でした。物心つくころから祖父母と同居だった私にとって、他の友達が話す優しいお爺ちゃんお婆ちゃんなんかではなく、怖くて、厳しくて、鬱陶しい存在だったのです。それは大人になってからは更に強くなり、特に祖母とはよく喧嘩をしていました。

そんな祖母ともさすがに今は喧嘩することもなく、のんびりとお茶を飲みながら話せるような関係になりましたが、果たして私は祖母の事をどれだけ知っているのでしょうか。

そんな事を考えた時にふと、彼女は戦争を経験している。私達よりも、はるかに厳しい時代を生きてきた人だ。そんな時代でも、勉学をすることが幸せになることだと信じて、家族の反対を押し切って大学まで行った祖母。

そんな祖母ともっと話をしたいと思いました。

戦争の無い時代に生まれた私達を、恵まれていると頭では理解が出来ていても、心からそう思うことはなかったと思うのです。

今の日本を作り上げた先人への感謝だって、私はもっていませんでした。何も無い時代から、仕事をして、家庭を築き、家を持ち、私達孫世代は何不自由なく生きている。

だからと言って、今恵まれてるのだから全部我慢しろ!というわけではなく、恵まれてるからこその悩みや辛さがあるということも理解してくれる祖母の強さなんかを感じました。

そんなことを、先日祖母に会いに行って話してみたら、祖母が少し涙ぐみながら、当時の話や、祖母の母の話などをしてくれました。今まで私にしてくれていた楽しい話だけではなく、悲しみや苦しみも少し話してくれました。そして祖父が書いた書物なども貸してくれました。

 

こうやって、本を読むたびに今までの関係に新しい風が吹く。祖母も大変な読書家なので、今後は二人で読んだ本の感想なんかを言い合いたいね、と言って帰宅しました。

あと何回会えるのか分からないけれど、出来るだけたくさん話したい。そう思いました。

 

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